蝶の詳細

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モンキアゲハ    
Red Helen    アゲハチョウ科

2014年5月5日撮影(小城市松尾)

【 学 名 】Papilio helenus nicconicolens Butler,1881【 大きさ 】
【 時 期 】5月~8月(春・夏)【 発生数 】普通(生息地で目にする)
【 生息地 】平地から山地の樹木
【 内 容 】 後翅に鮮やかな白い紋がある。大型の見事な黒い蝶である。雌雄の斑紋は、ほとんど同じであるが、雌は後羽外縁部の赤い弦月紋が雄より発達する。後羽の白い紋の大きさや形には変異がある。国外では台湾、中国本土から西はインド、東はチモールにかけての東洋熱帯に広く分布する。国内では神奈川県以南の本州西半、四国、九州、南西諸島に多くみられる。九州では、通常、年2回発生する。第1化の春型は5~6月に、夏型の第2化は7~8月に発生する。
 幼虫の主な食餌植物は、キハダ、カラスサンショウなどのミカン科の植物である。佐賀県には平地・山地に普通に見られる。1980年4月に私は佐賀市に移転したが、佐賀県にモンキアゲハが多いのに驚いた。とくに、その年は多かったようである。
 モンキアゲハには少年の頃の苦い思い出が残っている。
 私とO君、K君の3人の昆虫少年は、高知公園の梅の段に採集にきた。梅の木の下には、美しいオニユリが咲き乱れている。真黒い大きな翅に、くっきりとした白い紋のあるモンキアゲハが飛んできて、花壇の中にあるオニユリに止まって蜜を吸いだした。夢にまでみる蝶だ。もちろん、ライバルのO君も捕っていない。私は垣根を越えて花壇の中に入ろうとした瞬間、O君が私の腕をつかまえた。私は大きな声で言った。
「僕が先にみつけたから、捕るよ」
「なんぼ君がみつけても、公園の花壇に入ったらいかんよ、学校で習っただろう」
 そんな言葉は聞かず、私はO君を振り払って、垣根を飛び越え、網で蝶をユリの花もろとも上からかぶせてしまった。美しいユリの花は、ばらぼらと散った。次の瞬間、私の網の中で、大きな蝶は、ばたばたしていた。はやる心で、私は蝶を三角紙に包んで、O君の眼の前に突きつけてみせた。O君は私をにらみつけている。「ざまみやがれ、今日こそ、眼の前でO君の捕れなかった蝶を捕ったのだ」と思って私は愉快でたまらなかった。
「入っていかん所に入って蝶を捕るのは、誰でもできらあね。そんな悪い奴とは採集しないから」
と言って、O君は怒って帰ってしまった。その夜は嬉しくて、嬉しくて眠れなかった。
 しかし、そのうちに、O君の言った言葉が暗雲となって襲ってきた。O君と堂々と競争して、勝ったわけではないのだ。私は起き上がって蝶を出してみた。真っ黒い見事な羽に、くっきりと白斑が入ったモンキアゲハが三角紙の中に収っていた。初めて手に入れたモンキアゲハは、新鮮で完全なものであったが、まだ、私のものではないような気がするのであった。
 1980年佐賀医大に赴任してすぐ、小城市松尾の寺の庭に沢山のモンキアゲハがいたので撮影出来た。その後、春になると何回も同場所に足を運んだが、時期が悪かったり、蝶に遭遇しなかったりして撮影のチャンスがなかった。2014年になって、ようやく撮影出来た。実に34年ぶりであった。

1980年5月11日撮影(小城市松尾)

佐賀昆虫同好会会員 廣川典範氏所蔵標本(1990年5月11日撮影 武雄市御船山で採集)


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