蝶の詳細

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ミカドアゲハ    
Commom Jay    アゲハチョウ科

1982年5月2日撮影(佐賀市鍋島町蛎久)

【 学 名 】Graphium doson albidum (Wilman,1903)【 大きさ 】
【 時 期 】4月~7月(春・夏)【 発生数 】少量(生息地でたまに目にする)
【 生息地 】神社などのオガタマノキが植栽されている場所
【 内 容 】 小学校5年生のころであったと思う。蝶の名前が分かりだした昆虫少年であった私は、夏の暑い盛りに、ネットをもって高知公園で蝶を追っていた。少し疲れかけて休もうとした時に、私の目の前に一頭の蝶がゆっくり飛んできた。
 どこにでも見られるアゲハチョウのようでもあるし、アオスジアゲハにも似ている。とにかく初めてみる蝶である。私は図鑑の蝶の写真を頭に描いた。
 「ミカドアゲハだ」。そう叫ぶと同時に、私の心臓は早鐘のように高鳴り始めた。私はミカドアゲハが高知県の天然記念物であることを知っていたが、標本さえもまだ見たことはなかった。
 こんな珍しい蝶が私の目の前にいる。蝶はゆっくり飛び、私の目の前約3メートルの草に止まろうとしている。近付いて上からネットをかぶせればいいものを、私はネットを横にふった。
 一瞬のことであった。蝶は舞い上がって逃げていった。私は我を忘れて蝶が逃げた方向に走り蝶の姿を求めた。何回も何回も同じ場所を行ったり来たりした。
 しかし、蝶は二度とその姿を見せなかった。翌日も、その次の日も毎日公園に通った。ついに、私は少年の日に再びミカドアゲハに会うことはなかった。それ以来、私はミカドアゲハにあこがれ続けた。
 その後、ミカドアゲハに再会したのは、10年以上も後のことで、福岡市の九大構内である。しかし、私にとってこの蝶が珍蝶であることには変わりなかった。1980年4月に佐賀市にきてから、佐賀市内にミカドアゲハがいることを聞いたのは、その発生期も過ぎたころであった。
翌年の1981年5月7日、佐賀昆虫同好会会員の坂井文雄氏に教えて頂いた佐賀市城内に行くと、トベラの花にミカドアゲハが飛来していた。これが佐賀県での同蝶との最初の出会いであった。
 ミカドアゲハの幼虫は、オガタマノキ、タイワンオガタマノキ、タイサンボクなどを食べる。佐賀市内では数カ所発生地がある。同地では蝶は4月下旬から5月上旬にかけての期間と、6月下旬から7月上旬にかけて見られる。
 1982年、鍋島町の自宅の庭に、ミカドアゲハの食樹植物であるオガタマノキとタイアワンオガタマノキ、訪花植物であるトベラを植えた。夢に描いた“ミカドアゲハが舞う庭”を実現したいとの願いからである。毎年、発生時期になれば、ミカドアゲハの飛来を待ったが、1986年までは全く、その姿を見せなかった。1987年5月8日は、五月晴れの快適な日であった。12時31分、1頭のミカドアゲハが飛来した。羽の斑紋は青色調の個体であった。その日は、同蝶が次々に飛来した。その年の夏は、ここで羽化した個体も確認できた。1988年と1992年には、ミカドアゲハの出現を確認できなかったが、1989年、1990年、1991年には、発生時期に同蝶が飛来した。また、卵、幼虫、蛹も確認できた。長い間の夢であった“ミカドアゲハが舞う庭”が実現できたのである。
 その後、2014年現在まで、毎年成虫を見る事が出来る。自宅の庭は、ミカドアゲハの発生地になった。

2010年5月15日撮影(佐賀市鍋島町蛎久)

1996年4月7日撮影(佐賀市鍋島町蛎久)

幼虫

蛹(さなぎ)


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