クロコノマチョウ Dark Evening Brown タテハチョウ科 | |||
![]() 1990年11月3日撮影(佐賀市鍋島町蛎久) | |||
【 学 名 】 | Melanitis phedima oitensis Matsumura,1919 | 【 大きさ 】 | 中 |
【 時 期 】 | 6月~11月(夏・秋) | 【 発生数 】 | |
【 生息地 】 | 丘陵地から山地の樹林で暗い場所を好む | ||
【 内 容 】 | 淋しさはいつとも分かぬ山里に 尾花乱れて秋風ぞ吹く 島崎藤村 もう、秋が来たことは、だれの目にも明らかである。華々しかった蝶の世界に翳りが見えるころ、クロコノマチョウが蝶愛好家の注目をひくようになる。 羽の形は違うが、大きさはアオスジアゲハ程度である。羽の表面の模様は目立たない黒褐色である。羽の裏は茶色から黒褐色で、まるで落ち葉のようである。静岡以南の本州、四国、九州に分布する。 九州では屋久島まで見られる。国外では台湾、中国本土、西北ヒマラヤに分布し、東南アジアからも知られている。夏型は6、7月から発生、秋型は9 ~ 11月に羽化して越冬する。幼虫の食草はススキ、ジュジュダマなどのイネ科の植物である。 この蝶は日当たりのよい草原にはいない。日中は森や木立の暗い木陰にいて、夕方に活動する性質がある。 私のクロコノマチョウとの最初の出会いは、やはり少年の日であった。秋が深まったころ、自宅の裏にあまりにも落ち葉にそっくりの蝶がいたので、驚いたことを覚えている。 クロコノマチョウに非常によく似た蝶は、ウスイロコノマチョウ Melanitis leda (Linnaeus, 1758)である。特に両種の秋型は混同されやすい。ウスイロコノマチョウは、屋久島以南に住み、国外ではアフリカと東洋熱帯に広く分布する。九州、四国、本州で発見されるウスイロコノマチョウは、土着種ではなく、南方からの迷蝶である。 |