キベリタテハ Camberwell Beauty , Mourning Cloak タテハチョウ科 | |||
![]() 1975年8月10日撮影(岩手県宮古市で採集) | |||
【 学 名 】 | Nymphalis antiopa asopos (Fruhstorfer,1909) | 【 大きさ 】 | 中 |
【 時 期 】 | 7月~9月(夏・秋) | 【 発生数 】 | |
【 生息地 】 | 山地から高山地帯の林緑や湿地帯 | ||
【 内 容 】 | キベリタテハは、クジャクチョウとともに、代表的な北国の美人といったところである。翅表の地色は黒色で、外べりは黄色に縁取られ、その内側には瑠璃色の斑点が並び、真にシックな美しい蝶といえよう。色彩・斑紋は雌雄同様である。 国外ではサハリン、朝鮮半島、中国よりヨーロッパ、北米大陸に分布する。わが国では北海道、本州に産する。分布の西限は白山山塊とされている。北海道では全島の平地、山地に普通にみられる。本州では東北、関東、中部のおよそ1500 ~ 2500メートルの山地帯にみられる。平地で発見されることは、極めてまれである。国内での地理的変異は知られていない。 年1回の発生で羽化が遅く、7月下旬頃から成虫が出始め、8月が羽化の最盛期となる。成虫は活発に飛び、路上や岩上に静止することも多い。カエデ類、ミズナラなどの樹液を吸う。幼虫は、ダケカンバなどのカバノキ科、ドロノキなどのヤナギ科の植物である。成虫で越冬する。 キベリタテハは、九州や四国などの暖地にはいないので、盛岡市に赴任するまでは、その生きた姿をみたことはなかった。1975年、故岡野磨瑳郎教授の案内で、岩手県川井村の平津戸に行った時に、初めて出会った。新鮮な個体を採集することができたが、とうとう撮影の機会はなかった。 |