淡水魚詳細

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チチブ    ハゼ科    

1992.8.14 有浦川(玄海町)

学名Tridentiger obscurus  大きさ9cm
地方名あなはぜ、どんこ
生息域下流域、河口・汽水域
内容 どこにでもいる特に面白くもないものは扱いが雑になってしまうののである。私にとってヌマチチブはそのような魚の一つであり、撮影した写真の数も非常に少ない。写真はかつてヌマチチブとして紹介したものであるが、これはチチブの誤りであったので、この場で訂正しておく。
 汽水域の上限から感潮域上限付近で最も多いのがチチブの仲間である。ヌマチチブの頁に書いているように南西諸島を除くと国内にはチチブとヌマチチブの2種が生息している。両者は元々単一種と思われていただけあって大変似ている。ヌマチチブには胸びれ基部と第1背ビレの根元にオレンジ色の線がみられるが、チチブにはそれがなく第一背ビレの軟条は未成魚期から糸状に伸びること、ほほの白い点がチチブの方が多いなどで区別できる・・・はずであった。
 写真の個体はヌマチチブに混じって有浦川で捕獲したものである。捕獲段階で胸びれ基部の淡色部にオレンジの線が見られなかったためチチブの可能性があると思い、後で確認するために生かして持ち帰ったものである。その日は遅くなったので、当時の勤務校の生物教室の水槽に移して帰宅した。しかし、翌週になって水槽をのぞくと、既に繁殖を迎えて真っ黒くなっており、色彩の特徴がほぼ消えている。ヌマチチブの胸びれ基部のオレンジの線も繁殖期には消失するため、それがないからといってチチブと判断する根拠にならない。そうこうするうち、捕獲時にオレンジの線が本当になかったのか自信がなくなり、チチブであると断定する勇気が持てなかったのである。
 数年後、有浦川や佐志川でチチブを多数確認し、やはりあれはチチブだったのだと確信したのだが後の祭りである。両河川にはチチブとヌマチチブが混生しているが、チチブの方がやや下流に住み分ける傾向があるようだ。なお、今のところ、県内の有明海側の河川ではチチブは確認していない。

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