淡水魚詳細

詳細表示です。

スナヤツメ南方種    ヤツメウナギ科    絶滅危惧Ⅱ類

1993.4.3 多布施川(佐賀市)

学名Lethenteron  sp.S 大きさ20cm
地方名やつめうなぎ、めくらうなぎ(幼生)
生息域中~下流域
内容 ヤツメウナギの仲間は、国内で回遊性のミツバヤツメとカワヤツメ、一生を淡水で過ごすシベリアヤツメとスナヤツメの4種が知られている。県内で普通に見られる20cmほどのヤツメウナギはスナヤツメと考えてほぼ間違いない。しかし、これらは互いによく似ており、その区別は吸盤状の口器やその歯の形を見る必要がある。
 産卵期は、4月~6月とされ、上流の砂礫底で産卵する。卵からふ化すると3年間を盲目のアンモシーテス幼生として川底に潜って、泥底の有機物を食べて生活する。
 4年目の冬には眼、えら穴とも完成して成体になるが、他のヤツメウナギ類と異なり吸血生活は行わない。変態と同時に消化管は退化し餌をとらなくなる。春に産卵を終える頃には体長も3cmほど短くなって死亡する。
 県内では多布施川に多く、佐賀市水道局付近では3月~4月にかけて石に口器で吸着している姿が岸辺から観察できる。また、1993年下流の佐賀市伊勢町の小水路で昼間に遊泳中のレンガ色のアンモシーテス幼生が捕獲されている。この他、厳木川や田手川にも生息情報がある。田手川ではアンモシーテス幼生を、「めくらうなぎ」と呼んでいる。
 「かんの虫」の薬として、まごたろうむし(ヘビトンボの幼虫)の代用として利用される。
 生物に関する遺伝子や酵素の変異等を使った研究の進展は近年めざましく、淡水魚の系統の分類についても、様々な新しい知見が得られるようになった。スナヤツメについても同様で、これまで形態的特徴から単一種と思われていたスナヤツメは、中部地方以北に分布する北方種と秋田以南に分布する南方種の2種が含まれていることがわかった。このような種のことを隠蔽種といい、今後様々な生物において発見されていくものと思われる。ちなみに、北方種はカワヤツメやシベリアヤツメと近縁で、南方種はそれらとはやや遠縁に当たるとされている。
 県内の分布については上記のほかに城原川、安良川、佐賀市久保泉町から神埼町にかけてのクリークからも確認されており、県内の扇状地地形に広く分布するものと思われる。本種の幼生はツルヨシが茂るような湧水のあるような微細な砂の中に潜って生活しており、その確認にはそうした所を掘る必要がある。

1995.4.24 アンモシーテス幼生眼は皮下に埋没しエラ穴は溝状 多布施川(佐賀市) 中原正登氏捕獲

口器 1993.4.3 多布施川(佐賀市)


「佐賀の自然デジタル大百科事典」に掲載しているデータ(文章・写真等)の複製(印刷、ハードコピー等)、転載等は、学校教育に使用される場合等を除き、無許可での複製・転載を禁止します。詳しくは利用案内をご覧ください。