淡水魚詳細

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トウヨシノボリ    ハゼ科    

1992.7.26 松浦川(唐津市)

学名Rhinogobius kurodai  大きさ7cm
地方名いしびっちゃ、いしもち、いしもちゃ、いせもっちょ、いっしんちょく、ぐりーん、ぐりーんしょ、さなぶり、さなぼり、すいつぎどんこ、びっちゃん、やまんかんじょ
生息域上~中流域、ため池
内容 トウヨシノボリは雄の尾柄の基部に橙色の婚姻色が現れることからきた和名である。かつてヨシノボリ橙色型とされたものの他、宍道湖型、房総型、偽橙色型、湖沼型等を併せたもので、将来的には更にいくつかの種または型に分割されるものと考えられてきた。
 トウヨシノボリの胸ビレ基部には、オオヨシノボリを思わせるような暗色斑が見られることが多いが、輪郭がぼやけており、色彩も漆黒ではなく暗褐色である。体色も雌雄や時期によっても変化が大きい。雄は、産卵期が近づくと体側の斑紋が消失してうろこの中心が瑠璃色、前後が橙色になり全体として青みの強い単一色になる。さらに、産卵盛期になると全体が黒っぽく変化する。また、雌では、シマヨシノボリのように尾ビレや背ビレに点列が見られるほか、頬にはカワヨシノボリを思わせるような赤褐色の微小な斑点がそばかすのように見られることも多い。
 また、産卵期にも和名の由来となった雄の尾ビレ基部も橙色にならないものもある。県内に分布が確認されたヨシノボリ類以外に日本本土に分布されるとするルリヨシノボリやクロヨシノボリまで含めた中で、どれにも該当しないものがトウヨシノボリであると考えた方が、都合がよいかもしれない。
 トウヨシノボリは環境への適応力が強く、産卵は他のヨシノボリ類と異なり泥の塊で代用することができるため、湖やため池を海の代用として陸封されることも珍しくない。このため、アユ等の放流に混じって各地に分布を広げており、分類を一層ややこしくしている。
 分類が混乱してきたヨシノボリ類の中でもとりわけ混乱しているのが、トウヨシノボリである。最新の図鑑では、これまでトウヨシノボリとされていたものを分割して、いくつかの型が独立した種として扱うことが提案されている一方、西九州など一部地域のものは今後さらなる研究が必要ということで掲載すらされていない。普通に見られる魚を「名前のないハゼの一種」とするわけにはいかないので、本書ではこれまで通りトウヨシノボリとしておく。実は、本書でオオヨシノボリとしているものについては「過去にヨシノボリ黒色大型と呼ばれた時代の黒色大型Bではないか」という方もおられる。もし、その通りであれば、黒色大型Bはその後トウヨシノボリに含められてしまっているので、これも含めて今後の課題ということなのだろう。

雄の婚姻色 1992.10.27 嘉瀬川(佐賀市大和町)


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