淡水魚詳細

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タモロコ    コイ科    国内移入種

1992.8.5 半田川(唐津市)

学名Gnathopogon elongatus elongatus  大きさ10cm
地方名
生息域中~下流域、細流、ため池
内容 モロコという名は県内ではなじみが薄いが、近畿地方では琵琶湖の恵み、高級魚として有名な魚で、琵琶湖地方の「川もの屋」では小さなモロコの甘露煮が大きな顔をして並んでいる。
 小魚の代名詞のような名前が示す様に区別の難しい魚であるが、幸い県内でよくみかける3種、つまりイトモロコ、カワバタモロコ、タモロコは、全く別な属に分類される魚である。つまり似ているのは名前だけと考えても差し支えない。むしろ体側に黒色の縦条をもつムギツクやモツゴ等の稚魚の方がよっぽど紛らわしいのではなかろうか。
 タモロコは眼径とほぼ同長のヒゲを持つこと、体側の太い黒色縦条の下に、カワバタモロコに似た感じの淡い黒色の点列が2~3列、直走することが特徴である。
 県内では、早くから琵琶湖産アユの放流を行ってきた松浦川水系ではわりと多い。有明海側では福岡県南部や熊本には分布が知られていたが県内では見つかっていなかった。
 その後、1997年7月に、多久市内の牛津川の羽佐間堰下で、1998年5月には牛津川鰐ノ瀬堰下で、やや雰囲気の異なるタモロコを複数個体捕獲した。玄界灘に注ぐ松浦川のものとは体形と色彩があまりにも異なるため滋賀県立琵琶湖博物館の松田氏に標本を送って問い合わせたところ「ぱっと見はタモロコであるが、体形等の数値は琵琶湖固有種のホンモロコにもあてはまる」という回答であった。また、水産庁の養殖研究所の岡崎氏にミトコンドリアDNAを調べてもらったところ、こちらからは「松浦川水系のタモロコと異なり、琵琶湖産のタモロコと同じ遺伝子を持つ」という回答であった。琵琶湖産のタモロコはホンモロコと共存する水域ではタモロコらしい形態をしているが、ホンモロコのいない水域ではホンモロコに似てくることが知られており、牛津川のタモロコもその一例のようだ。いずれにせよ牛津川に見られるこのタモロコたちが本当に琵琶湖からやってきたものだとすると、かつてアユ漁の盛んな他の河川に琵琶湖産のアユを放流した際に、それに混じって運ばれた琵琶湖産のタモロコの子孫が、大雨等で塩分濃度が低下した有明海を通って牛津川にやってきて住み着いたということなのだろう。なお、これほど珍しかった本種も2001年~2002年に行った鳥栖市市史執筆のための調査では鳥栖市の河川のほとんどから確認され、分布の急速な拡大がうかがわれた。

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