淡水魚詳細

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アリアケスジシマドジョウ    ドジョウ科    絶滅危惧ⅠB類

筋しま模様の雄 1998.5.17 牛津川(多久市)

学名Cobitis kaibarai  大きさ雄5.5cm 雌7cm
地方名しまどじょう、すなくいどじょう(ヤマトシマドジョウと混称)
生息域中~下流域、小水路、クリーク
内容 以前のドジョウに関する認識は実に単純であった。つまり、水田地帯の池や溝に住むドジョウに対して、流れのある川に住む点列のあるドジョウの仲間をシマドジョウという。山口県と九州にはシマドジョウに似たヤマトシマドジョウが分布している。さらに、ヤマトシマドジョウの亜種に、体側の模様が筋縞状になっているスジシマドジョウがあるといった感じである。
 しかし、その後スジシマドジョウはヤマトシマドジョウの亜種ではないばかりか、10を超える多くのグループを含んでいたことが明らかになってきた。
 まず、1987年に大型種、中型種、小型種の3つの種にわけられた。特に小型種は東海型、淀川型、山陽型、山陰型などの「型」として細かくわけられた。そして、2012年に福岡県の中島淳氏らの研究で、これまで「型」として区別されてきたものには、「型」以上の違いがあるとして、「新亜種」や「新種」に昇格した。これまで中型種(新称ナミスジシマドジョウ)とされていたもののうち、遠賀川水系のものは新亜種オンガスジシマドジョウ、博多湾流入河川のものは新亜種ハカタスジシマドジョウといった感じである。
 この時、同時に有明海に流れ込む福岡、佐賀、熊本の河川に生息するこれまで小型種九州型と呼ばれてきたものが独立した種であるとされ、アリアケスジシマドジョウとされた。
 本種は、かつてヤマトシマドジョウの2倍体種族として扱われてきたことが示すように、筋縞模様ではなく、点列模様であることも少なくない。むしろ、雌では点列模様が普通である。点列模様の個体はヤマトシマドジョウによく似るが、尾びれ基部の漆黒の斑紋が背側の1つしかないことで区別できる。
 本種の存在を知らなかった20数年前、佐賀市鍋島町の圃場整備の行われていない水田地帯を通りかかったとき、代掻き( しろかき) 中の水田横の幅30cm ほどの素掘りの溝を遡上する小型のシマドジョウ類の群れをみかけたことがある。この時は、ヤマトシマドジョウの未成魚がなぜ群れているのか不審に思ったものだ。その数年後、そこにつながる新川水系の小水路からたくさんの本種を確認してからは、あれは産卵のために遡上中のアリアケスジシマドジョウの成熟個体群であったと合点がいった。スジシマドジョウ類の産卵期は5 ~ 7月で、代掻き直後の水田横の溝などに産卵する。ふ化した仔魚はしばらくの間は一時的水域で過ごすらしい。なお、県内ではこれまでに、六角川、嘉瀬川、筑後川の3水系で確認している。

体色が薄くなった雄 1998.5.17 牛津川(多久市)(上と同じ個体)

点列模様の雄 1996.8 嘉瀬川水系のクリーク(佐賀市嘉瀬町) 古川雅通氏捕獲

点列模様の雌 1996.8 嘉瀬川水系のクリーク(佐賀市嘉瀬町) 古川雅通氏捕獲


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