淡水魚詳細

詳細表示です。

アリアケシラウオ    シラウオ科    絶滅危惧ⅠA類

雌 2003.11.1 本庄江(佐賀市) 古川雅通氏提供 腹部の卵が透けてみえている 

学名Salanx ariakensis  大きさ15cm
地方名とんさんいお、しらうお
生息域河口・汽水域、有明海側のみ
内容 国内最大のシラウオで、有明海湾奥部や諌早湾、熊本県北部の沿岸の塩分濃度が低い浅海に生息する。10月から11月にかけて産卵のために河川の感潮域の上限付近まで遡上する。産卵すると死亡してしまう年魚である。国外では、朝鮮半島と中国の黄海沿岸に分布する。
 アリアケシラウオに限らずシラウオの仲間は魚食魚の良好な餌になっている。シラウオの仲間は透明な体で捕食者からの発見を遅らせることで、捕食を免れている。つまり体が大きくなるということは、捕食者に発見される危険性が高くなり、ひいては種の存続にかかわる問題になりかねない。
 実際、大型のこの魚が分布している黄海は「黄河は水を流すのか、泥を流すのか」という言葉が示すように、遠く黄土高原から大量の泥を運ぶ黄河のため常に濁っている。また、国内唯一の分布地である有明海も常に泥で濁っている海である。この濁りの著しい環境こそ15cmにも成長するアリアケシラウオが生き残れた理由であろう。
 県内には、シラウオ、アリアケヒメシラウオ、アリアケシラウオの3種が生息しているが、このうちシラウオとアリアケヒメシラウオはほとんど区別されていないが、このアリアケシラウオだけは「殿様が食べる魚」の意味の「とんさんいお」として区別されている。
 1970年以前は、手押し網で本種を専門に捕る漁業が成立していたが、近年では浅海や河口付近でほかの魚に混じって捕獲される程度にまで激減しており、環境庁によって絶滅危惧種の指定を受けるまでになっている。
 2003年に本庄江の深町水門(佐賀市鍋島町八戸)の直下で捕獲された雌の個体の写真をみると、生時の透明感は失われているものの腹部にはたくさんの卵が透けて見えており、本庄江での産卵の可能性を示唆する貴重な記録である。本種は、その大きさの他、上あごの方が下あごより長いこと、背ビレと尻ビレの起点の位置があまり違わないことなどで区別できる。

雄 2003.11.1 (同上)

頭部は著しく縦扁する。 アリアケシラウオ 1994.7.8 筑後川(佐賀市諸富町) 鷲尾真佐人氏捕獲


「佐賀の自然デジタル大百科事典」に掲載しているデータ(文章・写真等)の複製(印刷、ハードコピー等)、転載等は、学校教育に使用される場合等を除き、無許可での複製・転載を禁止します。詳しくは利用案内をご覧ください。