アリアケヒメシラウオ シラウオ科 絶滅危惧ⅠA類 | |||
![]() 1999.1.18 筑後川 | |||
学名 | Neosalanx reganius | 大きさ | 6cm |
地方名 | しらうお | ||
生息域 | 下流域~河口域、有明海側のみ | ||
内容 | 有明海は日本最大の干満の差を誇る泥深い海である。また、塩分濃度が低く、時に淡水化することすらある特殊な海である。そのため、有明海やそこに流入する河川には独特な生物が多い。 環境庁指定の絶滅危惧種であるアリアケヒメシラウオは、世界中で有明海に流入する緑川と筑後川にのみ生息するとされる魚である。この魚が特定の河川にのみ生息するのは、ほかのシラウオの仲間が主に沿岸で生活するのに対し、この魚が感潮域の上限に生息する純淡水魚だからである。 中国には本種に近縁な仲間が生息するが、このようにデリケートな分布をする魚を調べることによってこそ、日本列島が中国大陸と陸続きだった頃の環境を推測できるのであろう。 このように小さな魚はただでさえ見分けが難しいのだが、透明なシラウオの仲間をその場で生きたまま確認するのはさらに難しい。アリアケヒメシラウオは他のシラウオより小型で、胸ビレ条数が20本以上もあるうえにその基部が大きいため、胸ビレ付近を拡大すれば比較的容易に区別できる。 1991年には嘉瀬川でも初めて確認されている。有明海の塩分濃度が低下した時に、嘉瀬川に侵入したとも考えられるが、遺伝子の交流のない別な個体群である可能性もある。しかし、1992年の秋以降は河口堰の稼動により生息環境は干満の影響を受けない止水域になってしまっている。シラウオの例のように生存している可能性もないわけではないが、産卵が主に砂底で行われることを考えると、泥をかぶる止水では死滅している可能性の方が高い。 アリアケヒメシラウオは、その後も八田江や六角川等でも捕獲されている。 | ||
![]() 雄(写真上、1994.6.23 筑後川) 雌(写真下、1994.6.23 筑後川) 鷲尾真佐人氏捕獲 | |||
![]() 1991.11.10 嘉瀬川(佐賀市久保田町) |