淡水魚詳細

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ヤマメ    サケ科    準絶滅危惧

1996.5.10 城原川(神埼市脊振町)

学名Oncorhynchus masou masou  大きさ30cm(降海型は60cm)
地方名えのは、やまめ、ます
生息域上流域
内容 ヤマメは夏でも20℃を超えない渓流に住む、サケ科に属す美味な魚である。体側の小判型の模様はパーマークと呼ばれ、サケ科の幼魚に共通の模様である。他の多くの魚が、降海の前にパーマークが失われるのに対して、河川で一生を過ごすヤマメは成長しても幼魚期の体色を保ち続ける。
 しかし、ヤマメは降海して産卵のために河川に遡上するというサケ科の習性を、失ってしまったわけではない。桜の咲く頃に河川に遡上してくる60cmほどのサクラマスと呼ばれる魚がヤマメの本来の姿なのである。つまり、正確にはヤマメは「サクラマスの河川残留型」と呼ばれるべきなのである。
 同じ親から生まれた兄弟が、降海してマスになるか河川に残留するかは、河川で生活する最初の1年間の成長で決まる。成長が悪かったものが降海してマス化するといわれる。このため、夏の短い北日本に降海するものが多く、西日本には河川に残留するものが多い。降海するものはパーマークが失われ、銀白色になり、銀毛(ぎんけ)またはスモルトと呼ばれる。
 春の低水温期には六角川河口や多布施川等でも捕獲例がある。これらの個体はパーマークが見られるので、降海の途中というわけではない。しかし、県内にもダム湖を海の代用としたり、実際に海から遡上するサクラマスが存在するようだ。
 9月頃の産卵期には、台風などで増水した流れに抗して、さらに源流部まで遡上する。この時、普段は越えられない堰堤なども水没した河原の草の間を通って一気に遡上するという。
 肥前風土記には、嘉瀬川(現在の淀姫神社付近)に年に1回「海の神」と呼ばれる大きな魚が、たくさんの小魚をつれて海から遡上してくるという記述がある。このことを、今は亡き木村晴朗氏に相談したところ、「それはマスのことでしょう。分布域から考えると(ヤマメの降海型である)サクラマスではないでしょうか。」と即答された。つまり、産卵のために有明海を通って嘉瀬川に遡上したサクラマスに、河川残留型であるヤマメの雄が放精しようとして群がったり、オイカワやカマツカなどが卵を食べに群がっている様子を述べたものではないかということである。ヤマメの亜種関係にあるアマゴの降海型であるサツキマスが、河川改修が本格化するまでは広島や山口の河川に遡上していた事実からも十分にあり得そうな話である。

1991.7.29 嘉瀬川(佐賀市三瀬村)


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