佐賀の蝶 用語解説集
- 亜科(あか)Sub Family
- 分類単位の一つで、科の下位、属の上位。
- 亜種(あしゅ)Subspecies
- 種の下の分類単位。地域の変異に用いられる。学名は独立権として認められる。
- 遺伝(いでん)Heredity
- 親から子に形質が伝わる現象。細胞の核の中の遺伝子が重要である。
- ウォーレス線(うぉーれすせん)Wallace Line
- バリ島とロンボック島の間を通る生物分布の境界線。西側は東洋区、東側はオーストラリア区の生物が分布する。⇒『感銘を受けた本』を参照。
- 羽化(うか)Hatch,Emerge
- 蛹から蝶の成虫が出てくること。
- 越冬(えっとう)Overwintering
- 生物が冬を越すこと。蝶の場合、卵、幼虫、蛹、成虫などで冬を越すが、一般に成虫で冬を越す種類は少ない。卵、幼虫、蛹、成虫などどの形態で越冬するかを表すことを越冬形態という。
- エチオピア区(えちおぴあく)Ethiopian Region
- 生物地理区の区分のひとつ。熱帯アフリカ区の旧名で、アフリカ大陸とマダガスカル島を中心とした区域。
- オーストラリア区(おーすとらりあく)Australian Region
- 生物地理区の区分のひとつ。オーストラリア大陸とニューギニア島を中心とした区域。
- 科(か)Family
- 分類単位の一つで、目の下位。アゲハチョウ科などと記される。
- 蛾(が)Moth
- ⇒『蝶と蛾の違い』を参照。
- 学名(がくめい)
Scientific Name,Latin Name→Scientific Name
- スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネ(Carl von Linné:1707-1778)が提唱した、属、種、小名を記す方法、1種の生物には1種の学名しかない。⇒『蝶の名前』 『学名との出会い』を参照。
- 夏眠(かみん)Aestivation
- 暑さを避けて夏に休眠すること。
- 眼状紋(がんじょうもん)Eye Spot
- 目玉の紋様のこと。ジャノメチョウの仲間に多く見られる。
- 寄生(きせい)Parasitism
- 生物地理区の区分のひとつ。アフリカのサハラ砂漠以北とインド、熱帯東南アジア、北極を除くユーラシア大陸を含む地域。
- 旧北区(きゅうほくく)Palearctic Region
- 暑さを避けて夏に休眠すること。
- 休眠(きゅうみん)Diapause
- 冬眠、夏眠など生物の成長や発生過程において活動が一時的に休止する時期。ヒオドシチョウは翅化後、間もなく休眠に入る。
- 季節型(きせつがた)Seasonal Form
- 発生する季節によって翅の斑紋や色が変わること。日本のアゲハチョウにも、春型や夏型といった”型”がある。
- 季節的変異(きせつてきへんい)Seasonal Variation
- 季節によって、翅が変異(斑紋など)すること。
- 擬態(ぎたい)Mimicry
- 生物が、その生物以外の生物または生息する環境に体の色や形を似せる現象。⇒『蝶と人』を参照。
- 求愛行動(きゅうあいこうどう)Courtship
- 交尾するための行動。翅を広げて見せたり、震わせてアピールする。
- 吸水(きゅうすい)Sucking Water
- 蝶が川の畔などに集まって水分を摂取する行動。時には群れをなしてきゅうすいこうどうをする。
- 偶産種(ぐうさんしゅ)non-indigenous species
- 本来その土地には生息しない種。他の地域から偶発的な要素で移動し、発生する。
- 後脚(こうきゃく)Hind Leg
- 胸部より出ている一番後ろ側(腹部の方)にある2本の脚のこと。
- 後翅(こうし)Hind Wing
- 4枚の翅のうち後方の2枚の翅。後ろばねのこと。
- 交尾(こうび)Mating
- オスとメスが生殖のため交わること。
- 国蝶(こくちょう)National Butterfly
- 国を代表する蝶。日本ではオオムラサキ。スリランカ(セイロン)ではセイロンキシタアゲハ。
- 個体変異(こたいへんい)Individual Variation
- 同種の蝶で、それぞれの翅の模様が違う変異があること。→模様が個別に違う
- 蛹(さなぎ)Pupa,Pupae
- 幼虫と成虫の間にある形態。
- 三角紙(さんかくし)Triangle Envelope
- 蝶を採集した際に、三角形に折りたたみ蝶を収めておくパラフィン紙。
- 翅棘(しし)frenulum
- 後翅基部から出ている棘状のもの。前翅に引っ掛けて、後翅と前翅をつなげる役目をする。これがあるのは、蛾の特徴で蝶と蛾の区分点になる(例外もある。蝶ではラッフルズセセリのみ持つ)。⇒『蝶と蛾の違い』を参照。
- シノニム(しのにむ)Synonym
- 2つ以上の学名がつけられていること。後でつけられたものは学名が無効となる。⇒『蝶の名前』を参照。
- 翅脈(しみゃく)Wing Venation
- 翅に見られる脈のこと。
- 種(しゅ)Species
- 分類単位の一つで属の下位。⇒『蝶の名前』 『学名との出会い』を参照。
- 受胎嚢(じゅたいのう)Sphragis
- ギフチョウやウスバアゲハ類では交尾後にメスの腹部末端に、オスの分泌物によって形成される袋状のもの。これができるとメスは二度と交尾できない。始めは半透明であるが時間がたつと茶褐色や黒色になる。
- 食餌植物(しょくじしょくぶつ)Food Plant
- 幼虫時代に食べる草木や樹木。ムラサキツバメであれば、マテバシイ。モシロチョウであればキャベツなどのアブラナ科植物。
- 絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)Endangered species
- 絶滅してしまう危険性がある動植物のこと。人口の増加、開発、乱獲、または外来生物による在来種の駆逐などが主な原因にあげられる。
- 触角(しょっかく) Antenna
- 頭部から突き出している角のような器官。気流,熱,匂,音等を感じる器官。わが国の蝶の場合はセセリチョウ科を除き、先が棍棒状になっている。⇒『蝶と蛾の違い』を参照。
- ゼフィルス(ぜふぃるす)Zephyrus
- ミドリシジミの仲間を指す言葉。ギリシャ神話の西風の神ゼフィロスから。
- 前翅(ぜんし)Forewing
- 4枚の翅のうち前方の2枚の翅。前ばねのこと。
- 前翅長(ぜんしちょう)Forewing length
- 蝶の前翅の根元から先までの長さ。蝶の大きさを表すのに用いられる。
- 属(ぞく)Genus
- 分類単位の一つで目の下位。⇒『蝶の名前』 『学名との出会い』を参照。
- 体液(たいえき)Body Fluid
- 昆虫の体内にある液体、哺乳動物の血液に相当する。
- 地理的変異(ちりてきへんい)Geological Variation
- 同種で、生息している地域によって翅の模様が違っている現象。違いが大きければ亜種となる。
- 蝶道(ちょうどう)Papilio Flyway
- 蝶の前翅の根元から先までの長さ。蝶の大きさを表すのに用いられる。
- 展翅(てんし)Spreading,Mounting
- 昆虫の翅を板(展翅板)の上に広げて標本にすること。
- 天然記念物(てんねんきねんぶつ)Natural Monument
- 文化財保護法109条によって定められている動物、植物、地質鉱物、または地域のこと。ミカドアゲハは高知市内で特別天然記念物に指定されている。
- 冬眠(とうみん)Overwintering
- 冬に仮死状態で寝るようにすごすこと。キタキチョウは成虫で冬眠する。
- 東洋区(とうようく)Indomalaya
- 生物地理区の区分のひとつ。中国南部を含む東南アジアとインド、中東を含む区域。
- 土着種(どちゃくしゅ)Indigen
- 本来そこに生息する種類。
- 縄張り(なわばり)Territory
- 一頭のオスが一定の場所を占有すること。縄張り内にメスが来るのを待っている。アゲハチョウなどに見られる。
- 発生回数(はっせいかいすう)Eclosion Frequency
- 年間で新たに成虫が発生する回数。ヒメギフチョウは年に一回(春)、アカタテハは年に数回。⇒『各種項目』を参照。
- 尾状突起(びじょうとっき)Tail
- 後翅に見られる尻尾のこと。アゲハチョウ科(クロアゲハ)、シジミチョウ科(オナガシジミ)に見られる。同種の蝶でも(ナガサキアゲハなど) 尾状突起がある型(有尾型)とない型(無尾型)がある。
- 標本箱(ひょうほんばこ)Specimen case
- 標本を保存する箱。ドイツ箱が有名。⇒『昆虫採集道具』を参照。
- 複眼(ふくがん)Compound eye
- 昆虫類,甲殻類等が持つ眼で,小さな眼が集合して一つの眼になったもの。
- 捕虫網(ほちゅうあみ)Net
- 昆虫採集に用いる網。長い棒につけるのが一般的。⇒『昆虫採集道具』を参照。
- 分類(ぶんるい)Classification
- 生物を、その特徴に基づきグループ分けすること。界・門・網・目・科・属・種があり(分類単位 Classification Unit)それぞれの単位の間にも亜界・亜門・亜網・亜目・亜科・亜属・亜種がある。
- 変異(へんい)Variation
- 同種間で、別種とはいえないが、蝶の模様など少し違うこと。季節変異、地域変異、個体変異などがある。
- 前脚(まえあし)Foreleg
- 胸部より出ている2本の脚のこと。テングチョウの雄の前脚には長い毛が密生しているが、雌には長い毛がない。
- 繭(まゆ)Cocoon
- 蛾が蛹になる際に糸を吐いて形成する蛹の入れ物。蝶は蛾のような繭を作らない。
- 迷蝶(めいちょう)Migrated butterfly
- 本来その土地にいない蝶。日本の迷蝶は主として、季節風や台風に乗ってアジア大陸、熱帯アジアの島々、太平洋の島々から運ばれてくる。運ばれてきて固体の子孫を残すこともある。
- 蛹化(ようか)Pupation
- 変態の過程で幼虫から蛹になること。ジャノメチョウの老熟幼虫は、浅く地中に潜入して蛹窩を作り、その中で蛹化する。
- 幼虫(ようちゅう)Larva
- 変態の過程で蛹の前の状態。通常、食餌植物を食べて成長する。成虫のように翅は持たない。
- 鱗粉(りんぷん)Scale
- 蝶や蛾の翅にみられる粉状のもの。翅の上に鱗のように並んでいることから。
- 和名(わめい)Japanese Name
- 日本語の標準的な蝶の名前。ミカドアゲハ、ベニシジミなど。⇒『蝶の名前』を参照。