佐賀平野に網の目のように発達している堀(クリーク)は、江湖(えご)の名残だ。この堀に、所々に魚を集めるために「ヌクメ」が作られていた。堀底を深く掘り下げ、材木を立て並べ魚のたまり場としたもので、「カメ」とか「ガメ」とも呼ばれた。これはヌクメに割れた瓶(かめ)を入れることが多いことから命名されたらしい。
規模は瓶を入れただけのものから、中には大工の手を入れ、棟を張り、ヌクメ内が小屋ぐらいのものもあったという。材料の木は松を1年間水に浸しておき、つるつるに皮がはげたものを使うと魚の付きがよく、位置は日当たりのよい深みで、入り口が南向きが最上とされた。